読みもの
JOURNAL
WHAT MOVES ME
2026.08.19
BEHIND THE WORK
「なんか、いい。」そう感じるものには、きっと理由があります。空間、旅、パッケージ、日常の風景。心が動くものと、そこから生まれる小さなSparkについて。
心が動くものには、理由がある。
素敵なホテルに入ったとき。
旅先で、思わず立ち止まったお店。
手に取ってみたくなるパッケージ。
何度も使いたくなるもの。
理由はうまく説明できないけれど、
「なんか、いい。」
そう感じる瞬間があります。
私は昔から、その「なんか」が気になります。
好き、の理由を考える。
デザインの仕事をしているからなのか、もともとそういう性格なのかは分かりません。
いいなと思ったものに出会うと、
「なんでだろう?」
と考えてしまいます。
色が好きなのか。
文字がいいのか。
素材なのか。
それとも、光や香り、音、人の距離感まで含めた空気なのか。
ひとつずつ見ていくと、「なんとなく好き」だったものの中に、いくつもの理由が隠れていることがあります。
でも面白いのは、その一つだけを真似しても、同じようには感じないことです。
デザインだけを見ているわけではない。
たとえば、素敵なホテル。
家具も照明も美しい。
サインやアメニティもきちんとデザインされている。
でも、それだけで「また来たい」と思うわけではありません。
入口を入った瞬間の香り。
スタッフの距離感。
部屋に入ったときの光。
朝起きてカーテンを開けたときの景色や、ロビーでコーヒーを飲んでいる時間。
その全部が重なって、
「この場所、好きだな。」
という感覚になっている。
ブランドも、きっと同じです。
ロゴだけを見て好きになるわけでも、パッケージだけで好きになるわけでもない。
いくつもの小さな体験が重なって、いつの間にかそのブランドに対する印象になっています。
「完璧」だから惹かれるわけでもない。
整っているものは好きです。
でも、完璧に整っているものだけに惹かれるわけではありません。
少し古い建物。
使い込まれた家具。
手書きの文字。
不揃いな器。
長い時間をかけて、その場所に馴染んだもの。
新しくつくられたものにはない空気に、惹かれることがあります。
反対に、とてもミニマルで、余計なものがほとんどない空間に心が動くこともあります。
一見すると正反対です。
それでも「いい」と感じる。
たぶん、共通しているのは、
そこにあるものに理由が感じられることなのだと思います。
「らしさ」は、小さなところに宿る。
有名なブランドだから好き。
高級だから素敵。
新しいから格好いい。
それだけでは、あまり心は動きません。
なぜこの色なのか。
なぜこの素材なのか。
なぜここに、この言葉があるのか。
すべてを説明されなくても、ひとつひとつの選択に同じ空気を感じるものには、そのブランドらしさがあります。
逆に、どれだけ綺麗につくられていても、流行っているものを集めただけだと、どこかで見たような印象になってしまう。
前の記事で「いいデザインより、似合うデザイン」と書きました。
似合うものを積み重ねていくと、やがてそれが「らしさ」になっていくのかもしれません。
日常の中にも、たくさんある。
心が動くものは、特別な場所にだけあるわけではありません。
スーパーで見つけたパッケージ。
子どもと歩いているときに見つけた看板。
旅先のカフェでもらったショップカード。
ホテルの部屋に置いてあった小さなメッセージ。
何気なく入ったお店の照明。
ほんの小さなものでも、
「これ、いいな。」
と思うことがあります。
そういうものを見つけると、写真を撮ったり、覚えておいたりします。
すぐに仕事に使うわけではありません。
むしろ、そのまま使うことはほとんどありません。
でも、そうやって集まったものが、自分の中に少しずつ残っていく。
そしていつか、全く違うものを考えているときに、ふとつながることがあります。

トキメキを、集める。
Spark Designの「Spark」は、小さな火花。
大きなアイデアだけが、Sparkではありません。
「なんか好き。」
「ちょっと面白い。」
「この感じ、いいな。」
そんな小さな感覚も、私にとってはSparkです。
理由が分からなくても、まず心が動く。
そして、その理由を少し考えてみる。
そうやって集めてきたものが、今の自分の感覚をつくっているのだと思います。
このJOURNALでも、デザインやブランドの話だけではなく、旅先で見つけたもの、好きな場所、空間、パッケージ、日常の中で気になったものについて書いていきたいと思っています。
誰かにとっては何でもないものが、
誰かにとっては小さなSparkになるかもしれないから。
心が動くものには、きっと理由がある。
その理由を探すことも、
私にとってはデザインの一部なのかもしれません。
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ブランドの未来は、
最初のトキメキから始まります。